ハーブティーのブレンドには2つの側面があり、ひとつはハーブの組み合わせを決める側面であり、もうひとつは個々のハーブの量を決める側面です。

料理では、塩の量によって大きく味が変わることがありますが、ハーブティーづくりでも量によってハーブティーの味が大きく変わります。同じハーブを用いていたとしても、量によって、美味しくもなれば、まずくもなります。大切なのは、多すぎることもなく少なすぎることもない「適量」です。残念ながらハーブを扱うお店の人たちでも意外とこのことを知らない人がいるようで、ほとんどの「まずいハーブティー」は量の失敗によってつくられていると感じています。

木の葉ハーブティーでは、ハーブの組み合わせを大切に考えるだけでなく、ハーブそれぞれの量を身体全体の感覚を研ぎ澄ませて決定しています。

ハーブの組み合わせを決める時に重視しているのは、ハーブそれぞれの個性が消えず、個性がより良く発揮されるようにすることです。したがって、用いるハーブの種類数は最小限とし、大した理由もなく種類を増やすことは控えています。

「多様性とは、すべての存在が対話を通して個性を輝かせること」

これは多様性に関する私の考えですが、ハーブティーでも同様の考えでブレンドを行っています。そして「ハーブが持つ多様な個性がより美しく発揮される組み合わせと量」を目標として、つくり上げています。

これは美味しい料理を創作しようとするときとおおよそ同じ考え方かもしれません。それぞれの食材の良さを身体感覚で徹底的に感じ取ると、感じ取った複数の経験たちが心のなかで融合(対話)し始めます。すると、それぞれの良さを引き立てあう食材の組み合わせがインスピレーションとして現れます。こうして美味しい料理やハーブティーが新しくできあがることがあります。

香料(精油や人工香料)や甘味料(砂糖や蜂蜜など)、酸味料(クエン酸など)の添加物はハーブの個性を消してしまうので使用しません。料理ではそれらの添加物が許容されることもありますが、ハーブには繊細な個性を持つ種類が多いので、個性を輝かせたいのであればこれらの添加物を使うべきではありません。甘草(リコリス)やバラの花びら、羅漢果などほのかな甘みを持つハーブを使用することはあります。ステビアは天然のハーブですが、個性が強すぎて他のハーブの個性を消してしまいやすいので、今のところ商品には使用していません。原材料はハーブのみです。オーガニックや農薬不使用のハーブは積極的に選んで使用していますが、バラやジャスミンなどオーガニックや農薬不使用の入手が困難なハーブについては、食品基準で慣行栽培されたハーブを使用しています。

次に、目標とする「ハーブが持つ多様な個性がより美しく発揮される組み合わせと量」の「美しさ」についてですが、これはハーブティーを飲む時に得られる身体感覚や心のありようとしての美しさを意味しています。舌や鼻で感じとる味や香りの美しさもこれに含まれますが、これらだけではなく「胸が暖かくなるような心地よさ」や「頭が澄み切っていくすがすがしさ」など身体や心のいろんな部分で生じる様々な感覚、時には言葉では表現しづらいような感覚をも含んでいます。これら多様な感覚を適度に組み合わせることにより「子供心を表現したハーブティー」とか特定の音楽聴いた時と似た感覚を与えてくれるハーブティーなどの創作が可能になります。絵画、特に抽象画では様々な色の絵の具を組み合わせて人の心を表現できますが、これと同様に、ハーブティーでは様々なハーブを組み合わせることにより人の心を表現できます。いわば、アートとしてのハーブティーです。

従来の薬草茶的なハーブティーのように知識にもとづいてブレンドを決めるのではなく、感覚を研ぎ澄ませて、身体感覚やハーブとの対話を通して使用するハーブを決定していきます。

使用するハーブの種類を決めたら、試作と試飲を繰り返しながら、厳密な量の決定を行います。量を決める判断基準はハーブから得られる身体感覚ですが、決定した後は論理的な再現が可能となり、商品化も可能となります。

なお、この感覚を研ぎ澄ませるブレンド方法は自己の深い内面性を表現する結果にもなりますので、副産物として精神性のある詩も生まれ出てきます。木の葉ハーブティー(Konohaハーブティー)のラベルに記された詩は、木の葉のオリジナルのものであり、そのハーブティーを飲んだ時に得られる感覚が言葉になったものです。もしハーブティー選びに迷ったら、あなたの心を打つ詩が記されているハーブティーを選んでみてください。またハーブティーのブレンドの仕方について詳しく学びたい方は、個人セッションの実用コースの受講をお勧めいたします。